第8話「だれかのために」

誰か(何か)のためだとびっくりする力がわいてくる。

この紙面がお手元に届くのはラグビーワールドカップが佳境を迎えている頃でしょうか。ぼくはラグビーと聞くと熱血青春テレビドラマや「友情」という言葉が思い浮かびます。チームスポーツはみんなそうかもしれませんが、特にラグビーは「One for all, All for one」という言葉に表されるような「みんなで助け合って目標に向かって進むぞ!」というイメージがあって、青春ドラマにぴったりなのかもしれません。
一人ではくじけそうな時でも、誰か(何か)のためだと自分でもびっくりする力がわいてくる時があります。今月はとても恥ずかしがり屋のこぶたの男の子のお話しです。

11月の一冊 「もじもじこぶくん」 
小野寺悦子作 きくちちき絵 <福音館書店>

「もじもじこぶくん」 小野寺悦子・作 きくちちき・絵 福音館書店

恥ずかしがり屋のこぶくん。でも偶然みつけた誰かさんのために勇気がでます。

物語

こぶたの「こぶくん」はアイスクリームを買いに来ました。恥ずかしがり屋のこぶくんは、もじもじしていて注文ができません。他のお客さんがどんどん先に注文してしまうので、こぶくんはアイスクリームが無くなってしまうのではないかと心配になります。でも、やっぱりもじもじ。その時「いちご味の、くださーい」と、小さな小さな声が聞こえました。こぶくんが地面をよーく見ると、アリが小石の上で背伸びして声を張り上げています。でも小さな声はお店の人に届きません。「ぼくもね、アイスクリーム買いにきたとこなの。一緒にどお?」とアリに言ったこぶくんは、自分でもびっくりするぐらい大きな声で注文できました。

ソムリエのひとこと

恥ずかしくて下を向いてしまったこぶくんだけがアリに気づきました。お店の人に声が届かなくて、ポロンと涙をこぼしたアリを見て、こぶくんのスイッチがパチッと入ったみたいです。そして誰かを助けると自分も嬉しいという事も知りました。こぶくんの恥ずかしがり屋は、これで治ったわけではないと思います。これからもきっと、もじもじするでしょう。でもこれからは、いざという時にはちゃんとスイッチが入るって、こぶくんには分かっているから大丈夫。人に何かをしてあげたとき、「相手が喜ぶと自分も嬉しい」というスイッチを持っているのは、人間だけなんだそうですよ。あ、こぶくんはブタでしたね(笑)。

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この記事を書いた人

絵本セラピスト協会代表

「絵本でいつの間にか世界平和」を目指して、大人に絵本を紹介しています。絵本で人をつなぐプログラム「絵本セラピー®」の普及のため2009年絵本セラピスト協会設立。「絵本セラピス ト®」資格認定者は1000人以上。今日も世界のどこかで大人に絵本を読んでいます。

日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー、一級建築士。

著書に「絵本はこころの処方箋」「絵本はこころの架け橋」(瑞雲舎)。

2018年韓国で「絵本セラピーってなんだろう」出版。



■絵本セラピスト協会 http://www.ehon-therapy.jp/



絵本はこころの架け橋絵本はこころの架け橋

大人のための絵本セラピー②

岡田 達信 著 <瑞雲舎>