第2話「変わる瞬間」

絵本は実際に手に取って「絵を読んで」くださいね。

絵本を紹介する文章を書く機会が多いのですが、絵を言葉で説明するもどかしさを毎回感じます。絵本は「絵を読む」本なのに、肝心の絵を見せないで説明するのですから、本当にこの良さが伝わっているのか?いつも自問自答しながら書いています。(私がこんな事を言うのは変かもしれませんが)このコラムを読んでその絵本を理解した気にならないでください。ぜひぜひ実際に手に取って「絵を読んで」くださいね。
どうしてこんなに長い前置きを書いているのかというと、今回の本が言葉だけで伝えるのが難しい、本当に絵本らしい絵本だからであります。でもぜひお伝えしたい本なのでご紹介させてください。

5月の一冊 かんけり
石川えりこ 作 <アリス館>

小さな勇気をもらえる1冊 「かんけり」

小さな勇気をもらえる1冊

物語

引っ込み思案な女の子ちえちゃんは、いつも助けてくれるりえちゃんに誘われて、「缶けり」に参加します。
ちえちゃんは怖くて、缶をけって誰かを助けたことが一度もありません。友達が次々とオニに捕まっていき、最後は自分ひとりになってしまいます。
「わたしがりえちゃんを助けなきゃ」。
ちえちゃんは勇気を振り絞って隠れ場所から飛び出して行きます。

ソムリエのひとこと

物語を要約すると「女の子がはじめて缶けりで缶をけることが出来た」以上です(笑)。
わずかなページ数で、ちえちゃんの性格描写、普段の行動パターン、りえちゃんとの関係性などが誰にでも分かるように描かれ、残りはすべて缶けりの描写にあてられています。
ちえちゃんが隠れ場所から飛び出して缶を蹴るまでの数秒間が6場面(全32ページの内の12ページ)を使って描かれる場面は迫力があり、まるで映画を見ているかのようです。この数秒間の表情の変化も見どころです。そして最後の文字が無いページの絵から読み取れる、ちえちゃんの成長。あの数秒間に確かに何かが変わったのです。

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この記事を書いた人

絵本セラピスト協会代表

「絵本でいつの間にか世界平和」を目指して、大人に絵本を紹介しています。絵本で人をつなぐプログラム「絵本セラピー®」の普及のため2009年絵本セラピスト協会設立。「絵本セラピス ト®」資格認定者は1000人以上。今日も世界のどこかで大人に絵本を読んでいます。

日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー、一級建築士。

著書に「絵本はこころの処方箋」「絵本はこころの架け橋」(瑞雲舎)。

2018年韓国で「絵本セラピーってなんだろう」出版。



■絵本セラピスト協会 http://www.ehon-therapy.jp/



絵本はこころの架け橋絵本はこころの架け橋

大人のための絵本セラピー②

岡田 達信 著 <瑞雲舎>